フランス手術器械のおなまえ

滋賀医科大学 整形外科学講座 前田 勉

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 このコーナーはフランスの手術室に入ることになった若き日本人整形外科医のご活躍をお助けするために、手術器械の名前を知ってもらおうというのが目的です。
 今回の情報はホームページ上で公開しており更新が可能です。訂正や追加情報を随時募集しています。是非、写真 (絵でも結構です) をつけていただいて日仏整形外科学会事務局にお教えください。つぎの交換研修生のために情報をつなぎましょう。

【Compresse】

 手術に参加することになって、はじめに活躍できる場面はガーゼで拭くことではないでしょうか。辞書で引くと ≪ gaze ≫ という言葉もありますが、これは単なる薄い生地のことをさしますので、フランスの手術室では一般的でないようです。オペ室で使うガーゼは、ガーゼをまとめて ≪ compresser ≫ したものだから ≪ compresse ≫ と呼ぶようです。

【Farabeuf】

 Dr Louis Hubert Farabeuf (1841-1910) のお名前に由来をもつ筋鉤です。ファラブはフランス医学に衛生学を導入したと言われる外科医で、手術器具を他にもいくつか考案しているようです。正式名称は ≪ écarteur de Farabeuf ≫ で、フランスでは一般的な筋鉤のようです。
 ベックマン開創器は ≪ (écarteur de) Beckmann ≫ で、ホーマンレトラクターは ≪ (écarteur de) Hohmann ≫ または ≪ contre coudé ≫ です。

【CiseauとCiseaux】

 単数形で「のみ」・複数形で「はさみ」になりますが音は同じです。
 「スィゾ!」では、どちらのことなのか分かりませんから、手術の流れから判断するしかありません。正しく指定するには ≪ ciseau à frapper ≫ とか ≪ ciseaux mayo ≫ です。

【pince=挟む道具】

 ≪ Pince-gouge ≫ はリウエル (gouge=丸鑿) で、個人的には好きな響きの音です。
 コッヘルは ≪ Pince Kocher ≫ です。挟むタイプの道具は「パンス~~」です。

【Marteau】

 ハンマーです。(岡崎良紀先生より情報を頂戴しました。ありがとうございます。)

※追記
 手術室に入ったら、多分はじめに聞かれるのは手袋のサイズでしょう。
 ≪ Quelle est votre taille de gants? ≫
 ≪ Sept et demi, s’il vous plaît! ≫
 てな感じで、つかみはOKではないでしょうか?
 それから、オペナース・麻酔ナース達にお土産を持っていくとすごく好感度がアップします。お土産は日本以上にポイントが高いような気がしました。日本から持っていくよりも地元の ≪ chocolaterie ≫ で詰め合わせを買うほうが選ぶのが簡単です。ご参考までに・・・

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