フランス研修生 研修報告

平成16年度 総合せき損センター 弓削 至

労働者健康福祉機構 総合せき損センター整形外科
弓削 至

 平成16年8月11より25日まで、Brice Ilharrborde先生が総合せき損センターにて研修されましたので、ご報告いたします。

 8月10日 関西空港に到着され、同日、新幹線にて福岡に来られました。最近、福岡も外国人が多く、何人かの外国人が改札口から出てこられ、誰に声をかけるか躊躇しましたが、先方も人を捜している様子で声をかけてやっと会う事ができました。大都市圏では、より見つけることが困難と思われ、フランスから研修に来られる先生の写真が必要と痛感致しました。Ilharrbordeというスペルで、てっきりアラブ系フランス人と勝手に想像していたので、本人に会って驚きました。元々、バスク地方の出身とのことでパリ市内でも非常に珍しい名前との事でした、またIlharrborde先生はアメリカ留学の経験があり英語が堪能で、当方の拙いフランス語が通じない時は英語で会話ができ、相手がどう質問するかという先読みが鋭く、「非常に優秀な人だな」と言う第一印象でしたが、それもそのはずで、フランス全土のintern 4600人中9位の成績と言う事でした。夜9時過ぎに飯塚に着き、荷物を整理した後、ちょうど当センターの独身者がお好み焼きを食べに行っている日だったので食事に誘い、来日した最初の食事がお好み焼きと焼酎でしたが、全てたいらげてしまい、その好奇心の強さとタフさに驚きました (翌日からの昼ご飯の弁当の漬け物を全て食べられていた事を拝見し、その好奇心旺盛さに感嘆したことを思い出します)。

 翌11日から本格的に研修に入りました。初日はスタッフの紹介と病院内の案内そして、その日から頚椎椎弓形成術と急患 (腰椎破裂骨折) の手洗いをしてもらいました。結局、8月11日から25日までに手洗いされた手術は頚椎々弓形成術5例、頚椎前方固定術1例、腰椎部分椎弓切除術4例、腰椎後方除圧固定術3例、腰椎骨形成的椎弓切除1例、腰椎破裂骨折 (急患) 3例の計17例でした。頚椎々弓形成術、頚椎前方固定術及び腰椎骨形成的椎弓切除に非常に興味を示され、多くのレントゲン写真をデジカメに熱心に撮っていた事が印象に残っています。腰椎破裂骨折では手術適応と手術法に関して楽しい議論になりました。この他、外来見学、術前の説明と同意への参加等、非常に内容の濃い研修でしたが、常に好奇心を持ち精力的にこなされていました。8月17日は多目的ホールにて「パリの病院」と題して職員の講演をお願いし、40名以上の参加があり、盛況のうちに終わりました。講演の後に医局で歓迎会を開き、その席でフランスと日本の脊椎外科の共通点と相違点を議論し、そして、機会があればフランス側と共同研究ができればと語り合いました。

Ilharrborde先生
せき損センターにて

 平日のアフターファイブは、「大阪ではきっと高級料亭が待っているはず」と期待して、飯塚ではカラオケ・お好み焼き・焼き鳥・焼き肉・花火大会と日本の夏と庶民生活を中心に据えて歓迎いたしました。花火大会は8月16日にあり、知人から浴衣を借りて一緒に団扇を持ってビール片手に見物しました。地元の小さい花火大会でしたが、間近で花火を見ることができたと喜んでもらい非常に楽しい思い出になりました。土日は太宰府・福岡、湯布院~阿蘇山観光、萩観光及び脇田温泉にてリフレッシュと北部九州と山口を堪能してもらいました。萩では観光途中で大雨に祟られましたが、雨宿りの喫茶店にてみんなで過ごした一時もいい記念となりました (その時の写真を掲載しています)。この他、テニス、ダーツ等も一緒に楽しみ、その万能ぶりに驚愕しました。

 8月25日に福岡を出発されましたが、別れ際は2週間に渡って一緒に相手をしてくれた友人達と感傷的な涙のお別れになり、短い間でも心に残るsympathiqueで爽やかな青年医師との交流でした。

 その後もメールのやり取りをして交流を深めています。このような貴重な機会を与えてもらった日仏整形外科学会の役員の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

雨の萩にて